放送室自習2年 佐賀の中学 いじめ被害者ら行事も欠席 校長「隔離ではない」

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2001.03.03 西日本新聞 朝刊 39頁 


 佐賀県千代田町の同町立千代田中(野中宏紀校長)で、二年生の男女六人が最長で一年十一カ月にわたり、放送室など教室外の場所で自習をする状態が続いていることが二日、分かった。西日本新聞社の取材に対し、学校側は「教諭が指導するなどできる限りの対応をしている」と説明しているが、別室の生徒には時間割もなく運動会など学校行事にも参加していない。生徒たちには十分な教育の機会が与えられておらず、学校側の対応に批判が集まりそうだ。

 同中や関係者の話によると、「教室外登校」をしているのは女子四人、男子二人。女子は放送室のスタジオで、男子は相談室と呼ばれる空き会議室でそれぞれ自習している。女生徒の一人は入学当初から現在まで、ほかの女生徒は一年―一カ月、男子二人も一年半、別室で自習を続けている。

 別室に通うようになった理由について、一人の生徒は、取材に対し「汚い言葉でいじめられるから」と指摘。また今年一月には、同中で教師が二年生の男子生徒に殴られてけがをする事件が起きており、「怖くて教室に入れない」と話す生徒もいる。理由はさまざまだが、小学校のころから不登校の生徒もいる。

 学校側と生徒の話を総合すると、日常の学習は生徒たちの自主性に任されている。通常の時間割で空いた教諭が生徒の質問に答えているが、定期的に別室を訪れるわけではないという。

 生徒は他生徒と同じに定期試験を受けているが、通知表は「相対評価はできない」(野中校長)として五段階評価せず、「判定できない」としているケースもあるという。

 野中校長は「教室に入れず悩んでいる生徒を、無理に他の生徒と同じ環境に置けない。決して隔離しているわけではない」と強調。しかし、生徒の親の一人は「来年の高校受験を控え、まともな授業もなく心配。学校の対応には臭いものにふたをする姿勢がうかがえる」と憤っている。

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 ●教育への責任欠落 長期間放置は問題

 佐賀県千代田町の千代田中で二日、「隔離自習」の実態が明らかになった。「みんなと一緒に勉強したり、スポーツしたいと今でも思っている」との女子生徒の願いが、無残にも踏みにじられた教育現場。不登校やいじめ、校内暴力など、現在の学校が抱える「負の部分」に対して、学校も家庭も地域社会も十分な処方せんを描けない実態が浮き彫りになった形だ。

 自習に使われている部屋は窓をカーテンで覆い、校庭や廊下から中が見えない。別室の女子生徒たちは「スタジオ入り」との言葉で呼ばれ他の生徒がいない時間帯に登下校し、二人の男子生徒は午後から帰宅している。

 同中には、生徒たちの悩みや相談に乗る学校アドバイザーが週二回の割合で学校を訪問しているが、男子生徒の保護者は「子どもの名前さえ覚えなかった」と強調、この問題を指摘した同中のPTA役員に対しても、学校側は誠実な対応をしていなかったようだ。

 不登校・登校拒否児が通うフリースクールの草分け的存在の「東京シューレ」を主宰する奥地圭子さんは「保健室登校よりも、生徒たちの精神状態は悪いはず」と分析。「登校せずにアルバイトをさせるなど徐々に社会と接触ができるようにすることが必要。定時制や通信制などの道を教えるなど、進路の幅を広げるべきだ」と指摘する。

 篠原清昭・九州大大学院助教授(教育行政学)は「不登校の子どもが増え、保健室や相談室への別室登校でも出席扱いとするケースが増えている」とした上で、「子どもの指導法や教育の責任をどう果たすかという視点が欠落している。生徒の自主性に任せるといって、一―二年も自習させるのはナンセンスで、安易な対応に思える」と話している。


【解説】

教室外登校というのはどこの学校にも存在する。
通常は先生に暴力を振るうとか学校の秩序を乱す生徒を教室外登校にする場合が多い。
今回は被害者を隔離状態にしたとすれば校長の処置は安易な対応であると非難されるべきであろう。
通常は校長からPTA会長に内々に問題が通知される。
私の場合は、秩序を乱す生徒を一般生徒から隔離している事と不登校の人数を通知された。
しかし、PTAで論議できたかと言うとプライバシーの問題もあり、個人的に家庭訪問をして内容を把握するに止まった。
PTAで論議するには、PTA役員の守秘義務は法的に何も無いし、うわさとして情報が伝わって人権侵害を起こすおそれがあるので難しい。
学校側としても守秘義務の関係で積極的に情報を開示できない事情がある。
しかし、報道された事が本当だとすると被害者を隔離していた事になる。
この対応は一寸信じられないというのが感想である。
学校は、子供が教育を受ける権利を守る方向で対処すべきである。
そしてこれらの問題を放置した教育委員会の責任も問われなければならない。
教育委員会には、報告が上がっているはずだし、教育行政としての責任が問われるであろう。
教育委員会と言っても教育委員に情報が上がっていないかも知れない。
教育委員会の形骸化が言われ久しい。
むしろ議会の文教員会などでしっかり議論して、教育長の任命権者としての町長の責任を追求するのが再発の防止には効果があるかも知れない。
PTAには保護者からの訴えがあったのではないだろうか。
何もしなかったとすれば、PTAの存在意義が問われる事になる。
今からでも、PTAとして責任の所在をはっきりさせると共に、再発の防止に動いてもらいたいものである。
とかく問題が報道されると情報をもらした犯人探しが行われる。
PTAが犯人探しに協力することが無いようにして貰いたいものである。


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