埼玉県P連の保険手数料違法の疑い/関東財務局調査へ

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小中学生保険加入の見返り 埼玉PTA連に6000万円 財務局が調査へ

2002.01.03 東京朝刊 39頁 (全1339字) 


 ◆手数料名目で代理店から

 埼玉県PTA連合会(県P連=新井裕史会長、会員約五十万人)と、傘下にあった任意団体「埼玉県PTA教育研究所」が、小中学生を傷害保険などに加入させる見返りに、保険料の一部を大手損害保険会社の代理店から「事務手数料」名目で受け取っていたことが二日、読売新聞社の調べで分かった。募集事務をほとんど行っていないのにキックバックを得ていた形で、総額は六年間で六千万円以上に上り、県P連の事業費や同研究所の運営費などに使われていた。関東財務局は保険業法で禁ずる「特別の利益供与」にあたるとみて、同法違反の疑いで損保会社や代理店の調査に乗り出す。

 問題の保険は、児童・生徒を対象とする傷害保険や、校内外でのトラブルで賠償責任が生じた時に備える賠償責任保険などを総合的に扱う「小・中学生総合保障制度」(年間保険料五千―一万円)。損保関係者の話では、同様の保険は少なくとも二十六都道府県の二十七団体で利用されており、埼玉県P連では一九九六年からスタートした。

 関係者によると、同保障制度は、生命保険会社役員の経歴を持つ前県P連会長が、在任中に中心となって立ち上げた。同県春日部市にある代理店を通じて三井海上(現・三井住友海上)と本契約を締結。この代理店に扱いをすべて任せる見返りとして、19%の代理店手数料の中から加入者一件につき五百円分を県P連の内部組織・県PTA安全互助会に払うとの別契約も、代理店と同互助会の間で結んだという。

 事務手数料は、前会長が今も理事を務める県PTA教育研究所が九八年に設立されてから、同研究所にも運営費として県P連の特別会計から配分された。

 約三万人が加入した二〇〇〇年度の場合、保険料総額約二億円に対して事務手数料は約千五百万円。このうち同研究所には半額、県P連事業費に約二割、各市町村PTA連合会に約三割が支出されていた。

 ところが、同研究所が二〇〇一年度分の事務手数料約千六百万円の全額受け取りを、県P連側に一方的に通告。代理店から振り込ませるなどしたため、県P連は昨年十一月、活動費の使途が不透明だとし、同研究所を付属機関として認めないことを決定した。

 保険の募集事務は、損保会社が加入者募集パンフレットの作成・印刷費用を分担し、小、中学校の教諭が学校の教室で配布するなど、県P連側は実質的な業務を行っていなかった。

 保険業法三〇〇条は保険会社や代理店に、被保険者への「特別の利益供与」を禁じており、関東財務局は「手数料が募集に伴う事務などの対価なら問題ないが、実体がなければ保険業法に抵触する」としている。

 前会長は、代理店一社に契約を独占させたのは手数料の取り分を増やすため、としたうえで、「代理店は(同法に抵触する恐れがあると)分かってやっている。こちらにも問題はあるかもしれない」と述べた。これに対し、保険代理店は「手数料の振込先が、契約者の県P連でなく安全互助会だったので『特別の利益供与』にはあたらないと考えてきた」とし、三井住友海上広報部は「事実関係を調べた上で答えたい」としている。

 保険評論家の佐藤立志さんは「PTA役員の立場を利用して保険会社側と癒着し、保険を食い物にしているのも同然。教育現場を利用したのは悪質だ」と話している。


【解説】
今年こそ明るいニュースから始めたいと思っていたが
不祥事のニュースになってしまった。残念である。

1月3日朝刊に読売新聞がスクープの形で報道して、毎日、産経、朝日、NHKが1日遅れて続いた。
びっくりしたPTA関係者が多いのではないか。私も、新井会長、前会長のM氏、教育研究所のメンバーとは何度かお会いした間柄で本当にびっくりした。

毎日新聞は
「保険は、県P連が三井住友海上と結ぶ「小・中学生総合保障制度」(年間5000〜1万円)で、校内外の事故による傷害などを保障。日本PTA全国協議会長も務めた前会長が96年から契約を始め、今年度は約3万人が加入している。」
と名前は伏せているが、元日P会長のM氏が中心になって立ち上げた事を報じている。

M氏は、春日部市P連から埼玉県PTA連合会会長を経て、平成10年と11年の2年間日本PTA全国協議会の会長を務めた。
M氏の職業は記事中では「生命保険会社役員の経歴を持つ前県P連会長が」となっているが、最近では保険会社の合併や設立請負人的な仕事をしており保険業については深い知識と経験があったと思われる。今回の事件は上手の手から水が漏れたということか。

日本PTA全国協議会の元役員をメンバーにM氏が中心になって設立した、PCAと言う団体も保険会社やカード会社から資金を集めると共に、全国の学校やPTAに独自のボランテイア保険を販売したりしているようである。(PCAについては本ホームページの「PCA問題」を参照されたい。

PTA関連の保険は一般的に2種類ある。
一つは、安全互助会と言う組織で、PTA連合会の内部組織としてPTA会員の活動中の事故に対する直営保険であり、学校単位で一人年間300円程度の互助会費で運営されている。危険分散ために保険会社に再保険された残金や、支払った保険金の残り=収益は、PTA事業や単位PTAなどに還元されている。
(全部の県にあるわけではない、大論争の末に設立されたところが多い)。

もう一つは、保険会社が募集する「学童保険」というものがある。今回問題なったのはこの学童保険の手数料の方である。
通常は、数年に1回、保険会社数社からヒヤリングして保険内容とかを県PTA連合会の役員会で検討して県PTA連合会が推薦と言う形を取る。
事務手数料と言う形もあるし、推薦料という形での保険会社からの謝礼が支払われることが一般的であるがこんなに高額にはなっていない。
推薦を受けた保険会社は、推薦状を持って個別に学校訪問を行って募集を行う。一般的には募集事務には先生やPTA役員がタッチすることはない。
(パンフレットの配布は行うが、申し込みは希望者が直接保険会社に郵送する形を取るようである。)

まあ、学童保険については、別にPTAがタッチする必要性はないが、団体特約と言うことで個別に申し込みをするよりも保険料が安くなることと、個別に学校に色々な保険会社が売り込みに行ったのでは現場で混乱するので紳士協定して頂いているのが実情で手数料を目的としているところは少ないのではないか。
あくまでもPTA会員の福利が目的であって、手数料目当てではない。
しかし、法的に問題があるとすると、多くのPTAが該当する恐れがある。

しかし、今回のように会員の福利を目的とするよりも多額なキックバックが目的となると社会的、法的な問題は残るのではないだろうか。
また、M氏の個人的な知り合いの業者に独占させると言う方法にも問題が残る。

今回の問題は、登校拒否などに始まる家庭の教育力の低下や児童生徒の問題行動を解決する一つの手段として「PTA教育研究所」を設立し運営をPTAが行ところからはじまった。
現在のPTAの実力から言えば一般会員や役員が運営にタッチすることは不可能で、勢い聖域化されてしまう。
M氏としては善意として行ったことだろう。彼の善意を信じ、共鳴して、応援した関係者は多い。
PTAの活動として、直接問題を解決する機関や組織を運営に踏み出すまでにどれだけ論議されたのか。
アイデアから人選まで彼まかせで、運営費をPTAという巨大組織の商用利用(保険会社の手数料や機関紙への広告費)で賄うという錬金術まがいの方法について各役員の中できちんと論議があり、責任の自覚があり。
なによりも情報公開があったのだろうか。
PTAの活動は、やはり、一人が引っ張るということではなく周知を集めて、一人一人が負担を分担するということでなかれば長続きはしないのではないか。
PTAの実力から言えば、せいぜい「提言」までぐらいまでなのではないだろうか。
しかし、今後、実際的な業務へのPTAの参加も求められるることが多くなるだろう。
その為にもPTAのNPO法人化などへの脱皮が望まれる。
そのためにも情報公開がなによりも必要なのである。
もって他山の石とすべし。

(平成14年1月5日金山)


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