学校が「児童館」になった!

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[変わる教室]学校が「児童館」に 長岡市立桂小、地元住民が活動を指導=新潟

2002.04.24 読売新聞社 東京朝刊 29頁 写有 (全1869字) 


 ◇学びの風景リポート

 ◆地元住民が活動を指導、選択 増える休みや放課後の時間 校舎に集まる注目

 完全学校週五日制で増えた休みや授業終了後の放課後を過ごす場として、小中学校の校舎の存在がクローズアップされ始めている。体育館では一輪車、音楽室ではコーラスや演奏会、グラウンドでは野球やサッカー……。そこでの指導者の多くは、先生ではなく地域の人たちだ。授業のない時には「児童館」として、子供たちに校舎を開放している現場の取り組みをリポートしたい。

 ◆テレビより友達

 授業が終わると、ランドセルを背負った子供たちが、次々に図書室に飛び込んでくる。そして「桂児童館入館票」に名前を書き込むと、音楽室、体育館、グラウンドへと、思い思いの場所へ散っていく。

 児童館を利用する子供たちは一日平均約四十人。長岡市立桂小学校は児童数六十五人の小規模校だから六割を超える子供たちが、放課後や休日を校舎を利用した「児童館」で過ごしていることになる。

 「これまでは家でテレビを見ることが多かったけど、今はみんなで竹馬や一輪車をしている」「ほかの学年の友だちが出来た」。子供たちの評判は上々だ。「英語のカルタをしたりする『英語あそび』が面白い。児童館が出来てから、いろんなことに興味を持つようになった」。四年生の関川貴之君(9)はそう言って目を輝かせる。

 ◆お金をかけない

 放課後や休日などに、学校施設の一部を児童館として開放する「桂児童館」が開館したのは昨年五月。「時間とお金をかけずに地域の人たちの要望にこたえるには、新しく建てるより既に施設が整っている学校を利用した方がいい、そんな発想の転換が始まりでした」と、市教委の渡辺春雄・青少年育成課長は言う。

 子供たちの指導や活動内容の選定を担当するのは、PTAや子供会の会長など十人の地元の人たちで構成する運営委員会。委員会長は一九七〇年代から、同市水穴町で子供会の設立などに携わり、「子供たちに遊びの場をつくる」活動に取り組んできた多田隆三さん(71)。

 館長も兼ねる多田さんは「週五日制が始まり、学校の授業以外で、学び遊ぶ場をつくる必要性は高まっている」と話す。そして、「地域と学校が一緒になって子供たちの可能性を伸ばしてやれる場所です」と続けた。

 ◆「学び」も増やす

 開館当初、学校側はトランプや折り紙、粘土細工、ドッジボールなど、“遊び”の要素を強調し、子供たちにも「遊ぶ所だから気軽に来ればいいんだよ」と呼び掛けたという。しかし、開館一周年を迎え、より専門的、技術的に“学び”を重視した内容を徐々に増やし始めた。「保護者の方たちが、ボランティアで自ら講師役を買って出てくれるようになった」と多田さんは言う。英語教師やピアノの先生の経験があるお母さん、サッカー部出身のお父さんたちが、英語遊びや合唱練習、サッカー教室などで“先生”として活躍。子供たちにも好評だという。

 同小の大橋正孝校長は「児童館が出来て、子供たちがより生き生きしてきた」とし、「学校と地域、行政が一体となって、子供たちがいろいろな経験をできるようサポートし、それぞれの“得意”を見つけてもらいたい」と語っている。

 ◆県教委 「開放指針」市町村に配布 実施校少なく利用推進図る

 完全学校週五日制の実施に伴って増える休日に対応するため、県教委は、今年四月から図書室や特別教室を勉強や体験活動の場として、体育館は「遊びの場」としての利用を推し進める方針を打ち出した。

 ママさんバレーや地域の早起き野球が主流だった「学校開放」の対象を、子供たちにも広げようというのが狙いで、開放の手法を示した「開放指針」を各市町村教委に配布した。

 県教委生涯学習推進課のまとめによると、今年度、学校施設を地域住民に開放している市町村は、前年度よりも十二増えて四十四市町村。

 ところが、長岡市の桂小学校のように、子供たちにも施設を開放している学校が存在する自治体はまだ少ないという。

 今回、市町村教委に示した指針の中で県教委は、開放を円滑に進めるため、施設の維持管理方法を協議する「学校施設開放協議会」(仮称)、地域住民や自治体、保護者などによる「運営委員会」(仮称)を設置するのが望ましい――としている。また、ボランティアなどに管理人になってもらい、利用する子供たちの安全確保についてもアドバイスにあたってもらうことが望ましいなどとした。

 生涯学習推進課では「学校は地域、子供たちのもの。土、日にも、もっと活用するように工夫してほしい」としている。 


【解説】
学校の敷地内に児童館を建てる例はこれまでもあったが、学校の一部を児童館にする例はあまりなかったのではないか。
少子化になって児童の数が少なくなり、教室がガラガラに空いて来ているところも多くなって来ているのではないだろうか。
行政も税収減により、箱物を次々に作るという時代では無くなって来ているのも一因なのだろう。
アメリカに行ったときに、夜学校に明かりが点いているので何をやっているのかと聞いたらところ、成人のための文化活動をやっているとの事であった。
学校を多目的に使う時代になって来ているのではないだろうか。
今後学校を新設する場合は、最初から、図書館と公民館を併設して生涯学習の場として再編成する事も考える。
以前、ある学校のPTAで学校敷地内に公民館を建てる事についての反対運動をやっているとの話が掲示版に掲載された。
その理由として、どこの誰だか分からない人が学校の回りをうろうろするのは困るとの意見であった。
そのとき、公民館は地域の人たちなのに、「どこの誰だか分からない人」はないだろうと申し上げた事がある。
先日の大阪の児童殺傷事件で学校の安全確保の問題がクローズアップされている。
監視カメラの設置や警備会社に警備を依頼する事例も増えている。
しかし、緊急のときに間に合うのかどうか。
むしろ、地域の人が学校に出来るだけ出入りするようにしたほうが良いのではないか。
そして不審者には誰でもが声を掛けるような雰囲気作りのなかで安全が確保できるような気がする。
もう一つの問題は、事故とそれに伴う損害賠償の準備がどうなっているかである。
近年では、事故に対する管理責任が厳しく問われる傾向にある。
善意の行為が思わぬトラブルに巻き込まれる事にもなりかねない。
一部のPTA安全互助会では、総合学習の時間については一部カバーする動きがあるが
児童館活動まで拡大するまでには至っていないようである。
PTAの安全互助会のカバー範囲に児童館活動を含めるなどの環境整備も必要になってくるのではないでしょうか。

平成14年4月30日 金山 武


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