豊郷小改築問題/滋賀

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豊郷小校舎改築問題 現校舎派と仮設派、緊迫の場面も 仮設引っ越し作業中止*/滋賀

2002.12.30 毎日新聞社 地方版/滋賀 19頁 写図有 (全622字) 


 豊郷町立豊郷小前で29日朝、現校舎での授業継続を主張する住民ら約20人と、仮設校舎での授業を望む保護者有志ら約70人が集まり、道路を隔てて一時緊迫した。保護者有志はこの日予定していた仮校舎への引っ越し作業を28日深夜に中止したが、連絡が伝わらなかったため。町教委職員9人も出たが、互いに校内には入らずトラブルはなかった。

 町教委などによると、保護者有志は町や町教委の方針に沿って、「仮設校舎への引っ越しを手伝う」と町教委に申し入れた。しかし、同小PTA幹部の「一本化したい」との動きもあり、「混乱を招きたくない」と断ったという。保護者有志は28日深夜、寺田茂教育長らの要請で引っ越しの中止を決定。「豊郷小の歴史と未来を考える会」(本田清春代表)が「体を張って阻止する」としていたため、寺田教育長らが考える会側にも中止を伝えた。

 同小前では午前8時すぎから、保護者有志らと考える会が“にらみあい”状態。考える会側はハンドマイクで「これ以上の混乱は子どもたちの心に深い傷を残す」などと訴えた。これに対し、集まった保護者は「3学期の授業を正常に行うため、わが子の机と椅子ぐらいは仮設校舎に運ぼうと集まった。子どものことを考えてほしい」「現校舎は保存が決まったのだから、子どもの教育環境整備を最優先に考えて」などと話した。

 寺田教育長は「保護者有志、考える会、教委、PTA関係者の会合を開き、3学期以降について話し合いたい」としている。 【松井圀夫】


一言
皆さん明けましておめでとうございます。
今年もよろしくお願いいたします。
 歴史的な建造物の保存運動は各地で盛んである。
昨年11月16日、群馬県伊勢崎市で明治45年に建てられた「黒羽根内科医院旧館」という建物の移転作業があった。(写真)
地元商工会の青年部やNPO「街・建築・文化再生集団」や工学院大学後藤研究室などの協力で曳き家工法で、近くの駐車場用地に移転した。
その様子はテレビでも放映されたのでご存知の方もいらっしゃるかと思う。
通りの激しいメイン道路を通行止めにして、レールの上を家が移動するという珍しさもあって見物人も多数集まりテレビ取材もあり、伊勢崎市の名前を全国に知らせたいという市側の意向も成功したようである。

一方で、国に物納された、美智子皇后陛下の生家の取り壊しが決まった。
保存しようという運動もあったように聞いたが、美智子陛下の強い希望で取り壊しが決まったと聞く。
公開すれば幼い時の思い出がたくさん詰まった家が興味本位に見世物になる。
見世物になるよりは取り壊したほうが良いとの判断だったかどうかは分からないが。
正田邸は家族の心の中で永久に保存される。

見世物といえば、栃木県日光市に日光博物館という大正天皇ゆかりの建物がある。
その博物館の館長は、大正天皇に対する尊敬のかけらもない人物で、大正天皇の悪い面だけを強調して見学者に面白おかしく話していたことを思い出した。
保存することが良いことなのか悪いことなのか一概には言えない。

伊勢神宮の場合は、25年ごとに建て替えが行われる。
立て替えることによって、職人の技術の継承が行われる
また、建て替え費用の捻出にあたって信仰心の継承も考えるなどまさに神慮である。

保存の仕方は色々な姿がある。
保存する目的をはっきりさせ、保存方法を考えるのが本来の保存の仕方だろう。

今回は学校がその対象になった。

古い建物で授業を継続するのが良いのかどうか。
危険校舎として建て替えが計画されて、町民の大方の同意が得られていたのではないだろうか。

その建物が、歴史的な建造物なのかどうか良く分からない。

裁判での仮処分も、保存する必要があるかどうかについての判断をした訳ではなく、取り敢えず壊すのは一時待てという仮処分であったようである。
町長が裁判の結果に従わず、工事を強行しようとしたところから一気にマスコミに取り上げれれてしまった。
町長の取り壊しの指示が違法かどうか。
テレビを見ていたら、元特捜部長検事が違法ではないと言っていた。
専門家の間では見解が分かれているらしいが、世論は一気に保存派の味方になり、町長も慌て保存するなどと口走ってしまったようである。

保存するという決定が町長の胸先三寸で決まるのかどうか。
保存に要する費用はどうするのか、そのまま使うのか。

冒頭に書いた、伊勢崎市の建物は、市指定の重要文化財になっていたようである。
保存には、さまざまな人たちの理解と協力がなければ旨くいかない。
町の公金を使う以上、十分な保存理由がなければならない。
一夜にして、結論が変わるようでは十分な議論をしてこなかったのだろうか。
それとも普段からの政争が下地に在ったのか。

保存の運動も、今回の保存の問題が、取り壊しが決まって慌てて保存運動が起きたのだろうか。
今までに文化財指定などの動きがなかったのかどうか。
申請したが却下されたのかどうか。
テレビでは表面的な騒ぎしか伝わってこない。

100年以上も放って置いて、今更急に保存というのも変である。

誰でも、懐かしいものを保存したい気持ちはあるだろうが、保存するには費用が掛かる。
その費用を誰が負担するのか。
建物が大きいだけに心配である。
バブルの頃であれば、博物館にという考えもあるが、現在では維持費に見合うお客を呼べるのかどうか。
写真で残すのも一つの方法である。

また、その費用を負担するだけの価値があるのかどうか冷静に話し合ってもらいたいものである。

PTAもその話し合いの中心になって意見の集約を図ってもらいたいのである。
この記事を見る限りでは、保存派は少数で、大部分の保護者は改築容認のようである。
何がなんでも、体を張ってもという姿勢が受け入れられるのかどうか。
大事な、保存対象の建物に泊まりこんでいるようだが、火事など出さないでもらいたい。
町長の動き、保存派の動きを見ているときに双方ともに、自分の主張を通すには手段を選ばない気質なのかなと思う。
建物が立派でも、その校舎から如何なる精神のこども達を輩出したのか。
そして大人になったのか。
保存をめぐって争っているのをみて、校舎がもし、しゃべれたら
「もっとやれ]というのか
「いいかげんにしてくれ」というのか
はたまた、百歳すぎた老人のように「なんのことやら私にはわかりません」と言うのか。

このような問題が起きると、町外のいわゆる運動家が駆けつけて問題を政治的に利用する事も考えられる。
ここは、「子供の教育環境整備を最優先に考えて」どれだけ保護者がまとまって行動できるかに掛かっているのではないだろうか。

(平成15年1月5日 金山 武)


注)この記事を書いたあと(1月6日)プレハブ校舎への移転作業が行われたようである。引き続き注目したいと思う。
こんな記事も出てきました。

<豊郷小校舎問題>校長が辞職 板ばさみで体調崩す 滋賀

 滋賀県豊郷(とよさと)町立豊郷小学校の校舎保存問題で、同小の北坂均校長(53)が昨年末に辞表を提出していたことが6日、分かった。町教委は同日、辞表を受理。北坂校長も同日の職員会議で教職員に辞職を伝えたという。辞表は先月31日付。理由は「一身上の都合」としている。

 この問題では、先月24日に校舎保存が決まった後、3学期以降の授業を現校舎で行うか、仮設校舎で行うかで、保存派住民と町教委側の意見が対立。北坂校長は板挟みになって体調を崩し、今月5日に行われた保護者らによる仮設校舎への引っ越し作業にも姿を見せていなかった。

 北坂校長は周囲に「(強行解体後)校舎に寝泊まりするなどしていた住民に退去するよう言えなかったのが心残りだった」などと漏らしていたという。家族によると、北坂校長は5日までの数日間、自宅で寝込んでいたという。(毎日新聞)

[1月6日15時10分更新]

[一言]

ちょっと気の毒だが
どうして校長ってこう脆いのでしょうね
最近の子供は耐性がなくて脆いとは良く聞きますが
教えている教師が脆いでは、強くなる訳がない。
どちらにも良い子で居たい、保身本能ですかね
正しい価値基準を普段からもっているかどうかが危機に当たって影響してくる。
単に人が良いだけでは乗りきれない。

ところで
北坂校長は周囲に「(強行解体後)校舎に寝泊まりするなどしていた住民に退去するよう言えなかったのが心残りだった」などと漏らしていたという。家族によると、北坂校長は5日までの数日間、自宅で寝込んでいたという。(毎日新聞)
と記事には書いてあるが
下線の部分の記事の部分は本当なのかな?
排除作業があった日の朝の実況中継では、すでに校舎の中に入り込んだいた住民が排除作業の要員に手荒く扱われたなどと本人が話している姿なども映し出されている(読売テレビ)のだが
ちょっと記者さん、寝泊りが解体作業後に行われたように誤解を与える表現ですね
本当のところどうなんですかね
故意の誤報だったりして。

記事の見出しも板ばさみと書いてあるけど、保存派からの強硬な抗議活動が原因なのでは。
それとも保存派の校舎立ち入りを阻止できなかった責任を追及されたのかな?

何れにしても、校内立ち入りの管理責任をどのよに考えているのか。
池田小学校以来、部外者や不審者の学校内立ち入りを厳しく管理するのは校長の責任のはず。
肝心なときに何も出来ないのでは管理者としてどうなのかな。
もし本当に保存が必要な貴重な文化財ならば、その保護が第一のはず。
その辺の第一のことを第一に出来るかどうかが危機管理能力。

学校安全のために文部科学省も多額な予算を取って設備導入などを進めているが、実際の役に立つのかな
業者を潤すだけに終わったりして。

校長も不甲斐ないが、教育委員会も、そのまま辞表を受理するのも甘い甘い。

いずれにしても情報が不正確で新聞も当てにならない。

情報の嘘を排除して真実を見極めるメデアリテラシー力を高めなければならない。
今回の記事は良い参考になるのではないでしょうか。

(平成15年1月6日金山 武)


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