尾道市教育委員会次長の自殺

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教育次長自殺 校長休暇申請で質問状 市民団体 遺体発見日が回答期限

2003.07.07 中日新聞社 夕刊 8頁 第2社会面 (全1717字) 


 自殺した広島県尾道市教育次長の山岡将吉さん(55)は市民団体から、三月に自殺した民間出身の市立小校長慶徳和宏さん=当時(56)=が精神的な病気で休暇を申請した際の対応などをただす質問状を受け取っていたことが七日、分かった。山岡さんの遺体が見つかった四日は、その回答期限だったという。

 慶徳さんの休暇申請時の経緯については、尾道市教育委員会などと、県教職員組合の調査報告書が食い違い、論議が続いている。

 関係者によると、市民団体は「尾道の教育を語る市民連絡会」。質問状は市教委あてで「慶徳さんはうつ病と診断されたのに、治療が必要ないと誰が判断したのか」などの九項目。

 山岡さんに提出したのは六月二十七日で、四日までに話し合いの場を持つか、文書で回答することになっていたという。

 市教委の報告書によると、慶徳さんは昨年五月十三日、市教委に「心労が重なり、病院で診断を受けた結果、情緒不安定であり休ませてほしい」と申し出た。しかし「頑張ってほしいと伝えたところ、努力されることになった」とされる。

 これに対し、県教組の報告書は「うつ病の診断書を示し、病気休暇を申し出たが、取らせてもらえなかった上、病名を口止めされた」と指摘。精神科医の「専門医は『情緒不安定』という言葉は使わない」との分析に加え、休暇申請を申し出た際の同席者として、山岡さんの名前も掲載した。

    ◇

 子ども不在、責任追及の応酬

 異常事態 混乱続く

 『性急な改革』『過剰報道』

 銀行マンから転身した民間出身校長の自殺に続き、教育次長まで自殺に追い込まれた広島県尾道市。わずか約四カ月の間に二人の要職者を失うという異常事態に教育界の現状を憂える声が相次いでいる。「子ども不在の中で行政、教職員とも責任追及の応酬を繰り返している」「改革が性急すぎる」との声の一方で、マスコミの過剰取材まで指摘されている。

 自殺した山岡将吉教育次長(55)は、民間出身の慶徳和宏・元高須小校長=当時(56)=が三月に自殺して以降、原因究明や県教委への報告、報道対応などに追われた。一日には教育長が体調を崩して入院し、事後処理などを一手に担当していた。

 高須小PTAの役員の一人は「PTAにとって学校の相談相手は慶徳さん、市教委は山岡さんだった。その二人が自ら命を絶つとは…。誰かが死ななければならないような教育界に疑問を抱く」と失望感を隠せない。

 県教委と市教委、県教職員組合は、それぞれ慶徳元校長の自殺に関する最終報告書をまとめた。県教委・市教委は研修や支援不足などの「非」を認めた上で、慶徳元校長と一部教職員との対立を指摘。県教組は両教委の一連の対応への責任追及に終始している。

 県教委は五日、山岡次長の自殺に関する見解を発表。「最終報告は組織的な対応を指摘したもので、個人の責任を追及したことは一切ない」とした上で「両教委が問題の対応を教育次長に集中させ、心労を重ねていたとすれば誠に遺憾だ」との姿勢を示す。

 一方、県教委次長、県立教育センター所長などを務めた高橋享さん(68)は「子ども不在の中で行政、教職員とも責任追及の応酬を繰り返している。今のやり方では混乱は続く。行政、教職員、保護者が一丸となり、どう立て直すかに目を向けるべきだ」と指摘する。

 県教委は五年前、当時の文部省から是正指導を受けた。是正項目の柱となったのが、校長権限の確立と、卒業・入学式での国旗掲揚・国歌斉唱の実施だった。是正指導を機に県教委は、学力向上と校長権限の強化に大きくかじを切り、民間人校長の採用もその延長線上にあった。

 広島大教育学部の岡東寿隆教授(教育経営学)は「混乱の背景には、是正指導が一部で徹底されていない現状もあるのではないか。教職員はむやみに校長を敵視せず、協力して学校運営に当たるべきだ」と話す。

 一方、広島市内の小学校長の一人は「新学習指導要領の実施、学力向上策の推進、調査と報告の繰り返しなど、急激な変革に現場がついていけない面がある」と漏らす。

 山岡次長の自殺に関しては、マスコミへの批判も浮上。「山岡さんを追い詰めた一因に、過剰な取材攻勢があったのではないか」。県教委OBが県教委と市教委関係者の受け止めを代弁した。

本文 


?一言?
この件に関しては、多数の記事がでているが、中日新聞のこの記事がわりあい事情を詳しく書いている。
>山岡次長の自殺に関しては、マスコミへの批判も浮上。「山岡さんを追い詰めた一因に、過剰な取材攻勢があったのではないか」。県教委OBが県教委と>市教委関係者の受け止めを代弁した。
とマスコミの取材攻勢が原因のように書いてあるが。
問題は、広島県で立て続けに2人も教育関係者が自殺したということだろう。
数年前には、国旗の問題で校長の自殺者が出ているのも広島県だった。
いずれも、県教委のサポート体制の不備が招いたとしか考えられない。
建前上は、県と市の教育委員会は独立していてあれこれ口出しできないとしても、民間校長の登用は国の政策であり
また、県の政策である。
その政策遂行にあたり、2人も自殺者をだしたということは、マスコミや組合の責任ではなく
それらの攻勢は当然予見可能であり、体制を整えて実施に移すべきものだったのではないだろうか。
責任を下に押しつけて逃げていると言っても過言ではないだろう。

長野県教育委員会が、民間校長の採用を市町村に聞いたところ一つも応募が無かったという(7/10中日新聞長野総合版)
このままでは、民間校長の試みも無くなってしまうのではないだろうか。
政策の実行にはきちんとした準備体制が欠かせない。

(平成15年7月12日 金山 武)


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