心の教育の前にやって置きたいこと
その1


心の教育の前にやって置きたいこと
その1
金山 武
「幼児期の心の教育の在り方」について、中教審が3月31日中間報告を町村信孝文相に中間報告した。
この答申で、中学生の規範意識の低下や家庭での教育力の低下を指摘し、家庭での「しつけ」の具体策を提言した。地域での子育て支援、子育て講習会、道徳教育の見直し、自然体験村の設置などが主な内容らしい。
ちょっと待って下さい。
1、「幼児期の心の教育」についての方法論はどうなっているのか、色々な育児書でノイローゼ気味になっている親にどのような方法論で「幼児の心の」を教育するのか。そして、それはちゃんと有効性が証明されたものなのか。外国直輸入の「実験」をされたのではかなわない。
子育てには、これがこうだから、こうなると云うものがあるのか。四人の子育て経験から言うと、そんなものはありゃしない。
育児書に首っ引きで育てた子どもが良くなっているかと思うとそうでもない。結構ほったらかしの子の方が良く育つ事もある。
一人一人全部違う。同じ女の子でも、全然違ってくる。良くオオカミに育てられた例を引いて、育て方で変わると云われているが、嘘である。
料理の好きな子もいれば、嫌いな子もいる。歌が上手い子もいれば、きらいな子もいる。
研修旅行のバスの中で、我が家の子育ての方針を述べてもらった事がある。最後に校長先生が先生自身の子どもさんの子育てについて話しました。
毎日、きびしく寝る時間や門限を決めて育てた兄の方が、大人になってもちゃんと早く帰って来るようになるかというと、商社に就職して、殆ど仕事や付き合いで帰りは午前様になったりする。
また、ほったらかしで夜更かししていて、時間を守らなかった弟さんが、大人になったら、公務員に就職して毎日5時半になると帰ってきたり、教育やしつけで、こうすればこうなるということはないようだとの体験を話してくださいました。
まさに「わからない」のである。講習会なり、指導なりで、家庭で言った通りの育て方をすれば本当に良くなるのか、家庭内暴力で相談したら、刺激しないようにとの指導だったので、その通りやっていたら。どんどんエスカレートして、しまいには、親が金属バットで子どもを殺してしまった事件の裁判がついこないだ終わったところだし、神戸の生首事件の親だって、少年が非行をしたときに児童相談所に相談していた経緯がある。
専門家の言うことが本当に信用できるのか。
本当に言う通りやったら、良くなるのか、それが問題だ。やはり、個々のケースで対応は全然違ってくるのではないか。
家庭の教育力の向上なんて絵に書いた餅ではないか。家庭なんて千差万別、夜の勤めで、子どもが学校に行く時間に起きないで、寝ている親もいる。
朝ご飯をたべさせて貰えない子どもだっているし、給食費を払わない親っだている。子どもがどんな気持ちでいるのか。想像に難くない。家庭の責任と言う前にもっとやることがあるのではないか。
最近の不景気で、色んな店が、夜の営業を延長している。
子どものいる女の人だって、延長だと言われれば、断るわけにいかないことだってある。
シングルママ、シングルパパだっている。セカンドパパやセカンドママが増えている。
家庭がどんどん崩壊していっている。しつけは家庭でといったってその家庭の存在が不安定になってきている。
また、夫婦共教育熱心で、小学校時代に英検3級を取って将来を期待された子どもが、普通の大学に入りバンドにこって就職もせずなんて話しはざらにある。 ようするに、わからないのである。分からないから楽しみなのである。 ちょっと講習会をしたり、研修会をしたぐらいではどうにもならないのではないか。
育児休業中に、長期の講習会に出れば、国が半額、企業が半額、日当を払うぐらいの事をしなければとても徹底出来るものではない。
もっとも、講習内容が役に立つ内容だったらの話だが。
価値観がバラバラで多様化している世の中で、子どもに対する期待だってバラバラ。そんな中で、現在の道徳教育のカリキュラムだって確定していないのにどうやってカリキュラムを組むのかそこが問題だ。

少子化で余った先生の失業対策になるかも知れないが。
今の、教育の荒廃は、社会の荒廃を反映している。
対処療法的に、あれもこれもじゃ今の病院みたいに、馬に食わせるほどの薬はくれるけど治らないことにならないか。
もっと、慢性病に効くようなことを考える必要があるのではないか。
(平成10年4月3日)
(続く)