成人式その2


成人式その2

仙台市の市長が成人式の若者の態度に怒っているという。

そもそも仙台市長は、いままで成人式に出た事がなかったのだろうか。

今までは、公民館単位にやっていて、仙台市全体での行事ははじめてだったような事が書いてある新聞もあるが、知らなかったとしたら行政の長として迂闊だと言わなければならないだろう。

新聞によっては、厳粛にやるべきとの主張もあるが、そもそも成人式を行政がやる必要があるのか。

成人式は昔の武士の元服式が元だったと思うが、家庭や、一族の中のお祝いであって、全体で一斉にやるべきものではなかったのではないか。

雛祭りにしても、最近は行政がお祝い品を配ったりする。本来家庭でのお祝いが、無理矢理社会化させられていくような気がする。

私は、PTA会長だった関係で、2回ほど成人式を壇上で迎える経験した。

また、4人の子供の内、2人の娘が成人式を迎えたので、その経験からの感想を述べてみたい。

まず、成人式は3年も前から始まる。いわゆる晴れ着業者のダイレクトメールが届き始める。そのうち、直接訪問販売のセールスが来る。分厚い立派な和服のカタログを置いていく。

セールス攻勢に抗しきれずに、晴れ着を買わされた。

ところが、成人式の年になって、役場から届いた成人式の招待状には「平服で」とある。

一時期流行った「新生活運動」のせいらしい。いわく「晴れ着を用意できない親のため」に平服で参加する運動があって、役場もそれに乗っかってそのようになったらしいい。

今、大学生になっても、そのような考えは流行らないらしい。むしろ短大の卒業式などでは、謝恩会に「鹿鳴館スタイル」で出るのが常識になりつつある。

そんな訳で、成人式にあつまる若者は、女は「振り袖」に「白いショール」姿。男は結婚式で着るような派手な「羽織袴」と相成る。

中には、金色のスポーツカーを公民館の玄関に横付けするものも出てくる。

ところが、迎える役場側は「新生活運動だから」ということで、挨拶のある教育長は礼服、村長以下来賓は普通の背広となる。もっともおかしいのは、役場の女性係員は普段の事務用の着古した色褪せした上っ張りとなり、司会の男性も、事務服のノーネクターのままとなる。

このアンバランスが、すべての混乱の始まりとなる。

まず、玄関に横付けされた金色のスポーツカーを、駐車場に入れていただかなくてはならない。体操服姿の公民館の職員が、恐る恐る、車のナンバーをメガホンで叫んで「持ち主探し」。

やっと持ち主が分かったら、すごまれて、おどされながらも駐車場に丁重に案内する。

時間が迫ってきても、会場に入ろうとしない参加者。

声を嗄らして、会場に誘導する。

式が始まる。

式が始まっても、会場の外には多数の参加者がまだ残っている。

会場に入ってからも、友達同士のおしゃべりが続く。

「今日から大人、今までは黙って従ってきたが、これからは、お前らに指図されるか!」てな気持ちかもしれない。

県知事のメッセージの代読(大抵禿頭の県の役人が代読する)、教育長の式辞、村長の挨拶の間はざわめき通し。

新成人代表の昔の生徒会長が凛とした声で答辞を読む。

その時は意外に静かになる。

かくて、若者の老人どもに対する宣戦布告の行事は終わりぬ。

というところか。

迎える側と、参加する側とのすれ違い。

厳粛な式を言う前に解決すべき問題は多そうだ。

(平成11年2月7日 金山 武)