日本育英会

戻る第三の目目次にもどる

さきごろ文部科学省から9月4日に特殊法人の民間移行にたいする答申がだされた。
廃止できない理由として次のような理由を挙げている。

<1.事業を純粋に廃止できない理由>
 
   育英奨学事業(奨学金)は、我が国の国策として、学資の貸与等を行うことにより、国家・社会に有為な優れた人材を養成するとともに教育の機会均等を図ることを目的として実施されてきたものであり、我が国の経済発展を支え人材大国と科学技術創造立国を実現するために不可欠な事業である。また、憲法第26条において教育の機会均等の趣旨が定められ、教育基本法において「国及び地方公共団体は、能力があるにもかかわらず経済的理由によつて修学困難な者に対して奨学の方法を講じなければならない」(第3条第2項)と規定されており、今後とも国の責務として行われなければならないものである。したがって、事業の廃止は不可能である。
   種々の審議会答申等で「奨学金の充実」が提言されているほか、経済財政諮問会議のいわゆる「骨太の方針」においても、「教育を受ける意欲と能力がある人が確実にこれを受けられるよう、奨学金の充実」が今後の方向性として示されているところであり、経済社会の活性化のために競争原理を徹底する上で、教育の機会均等や社会人のキャリアアップを実現するための社会のセーフティネットとしての育英奨学事業の役割は、今後更に重要性を増していくものと考える。

《??はてな??》

文部科学省の主張の疑問を述べてみたいと思います。
<<国家・社会に有為な優れた人材を養成するとともに>>
これが20年前ならなるほどと思えるのであるが
今日、教育の目的が国家に取って「有為」なひとを養成する事であると思う人は少ないのではないだろうか。
国家主義的、社会主義的な発想と言わざるを得ない。
教育の目的は現在では「個人の幸福の追求」にあるのではないだろうか。
今や、国家の為に有為な人間を養成するなどということは絵に描いた餅であって最初から無理は虚言であることが段々わかって来た。
例を引いて申し訳ないが、国家のための人材教育をしているはずの防衛大学校でさえ、毎年任官拒否する学生が数多く出ている。
このことは、国家の為にと息巻いたとしても無理である事を示している。
教育を受ける側から言えば、最初は国家の為にと思って入っても、軍人になることに疑問も湧いてくるし
そんなに、教育の力で思想統制が困難であることを示しているのではないだろうか。
これが一般の大学の学生となると「国家の為に」などと考えている学生は殆どいないのではないか。
世界がグローバル化している現在、日本という国家に縛り付けることは先ず無理であろう。
ヘッドハンテングによって簡単に外国に優秀な人材は流出してしまう。
これは止められないことである。
あくまでも幸福追求の手段として考えていると言うことではないか。
自由主義経済のもとにあっては、個人の欲望による経済活動を広範に認めて、その結果として
経済活動を活発化させて、経済を発展させると言う方法が取られる。
そのため、教育の目的も個人の興味と幸福追求により自由で公正な競争を確保することによって社会の進歩が得られるということである。
そのため国がすることは、その環境を作ることに奉仕することではないどあろうか。
「国家・社会に有為な優れた人材を養成する」とする育英事業の考え方自体が破綻しているのではないだろうか。

<<能力があるにもかかわらず経済的理由によつて修学困難な者に対して奨学の方法を講じなければならない>>

現在の奨学資金は本当に、経済的理由によって修学困難な者にたいして充分な額の奨学金が支給された居るだろうか。
昔は確かに「苦学生」と言うものが居た。
現在では、苦学生になる前の段階で、経済力がない親の子弟ははじかれてしまう。
つまり、大学の入試のレベルが上がったことにより、進学高校に入る前の段階で塾通いが出来ない家庭の子どもは脱落する運命にある。
奨学金の額にしても経済困難な家庭の子どもが大学に通えるほど充分ではない。
家庭の資力がある程度ないと無理である。
新聞配達をしながら通学する方法などもあるにはあるが
時間的な余裕の面から、サークル活動などはまず無理である。
現在の奨学金の額では、中途半端である。
むしろ一部の大学が行っている「必要経費の全額融資」など(一人当たり2000万円から3000万円)でなければ絵に書いた餅であろう。

<<確実にこれを受けられるよう、奨学金の充実>>
では、奨学金を充実するとして、一人あたり2000万円から3000円の奨学金を与えることが出来るであろうか。
そんな事は無理である。
外国ではこの辺の問題をどのように解決しているであろうか。
「学生ローン」と言う方式を取っているところが多い。
日本の場合は「教育ローン」というのがあるが、額は一桁違う200万円である。
それも借り手は親である。親にある程度の経済力がなければ教育ローンは使えない。そして保証人が必要である。
これでは経済的に修学困難な学生の役に立たないのである。

!!私の提案!!
私の提案であるが、「奨学(学生)ローン」を充実することを提案したい。
借り手は「学生本人」、保証人は「国」とする。
融資額は最高3000万円程度にする。
これであれば、親に経済力が無い者でも修学することが出来る。
自分が借り手になることで親への甘えもなくなる。
自分が借り手であれば、利子まで計算して、学校に行ったほうが得か、行かないのが得かよく考えるようにもなる。
勉強にも実が入るのではないだろうか。
具体的には、
現在、日本育英会が直接貸付を行っている金額を国が直接基金として「奨学ローンの保証を行う団体」に預託する。
保証であるから、貸し倒れだけを考えれば良いから、今までの資金量の50倍から100倍に近い金額の貸し出しが出来る。
そのことによって、実質的に必要なだけの金額を借りる事ができると同時に、ローンを受ける学生の人数も増やせる。
運営は文部科学省の役人の天下り先になっている「日本育英会」は解散させて、銀行協会などにまかせる。
銀行協会などから必要な人数の「無給の職員」を出向させて運営させれば良い。
銀行は奨学ローンによって充分利益が得られるのであるから保証協会に人数を出すぐらいのことは十分出来る。
文部科学省の役割としては、運営が適正に行われているか監査をさせても良いが、純粋に経済活動の監督ということで
金融監督庁に任せたほうが方がよい。
文部科学省に口を出させると、国家主義的な教育観を持ち込んで、成績がどうの人柄がどうのと資格審査などをやりたがる。
貸し出し条件は「学生であること」で充分である。
お金が足りなければくじ引きでもさせたら良い。
国家にとって有為であるかどうかなどは、事前には分からない。
卒業して、環境に恵まれて、ひょんな事から大発明したりするのであって
文部科学省の役人が良いと思う人間が将来みんな良くなるとは限らない。
神のみぞ知るなのだから。

(平成13年9月13日夜)


戻る第三の目目次にもどる